年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学
世界の数学・科学教育レース
最近、あるシリコンバレーの企業を訪ねた際、 その会社の幹部でインド出身のエンジニアであるニミシュ・モディにこんな質問をした どうして、おたくの会社では、 エ ンジニアの半数以上が外国人なのですか? 返ってきた答えはこうだった。「アメリカ生まれのエンジニアが足りないからです。 その根本の原因は、アメリカの高校にありま す。すべての問題は、アメリカの高校で技術教育が軽んじられていることなのです」。モディは、さらにこう嘆いてみせた。 「実は、わが家でも毎日、息子と議論しています。 息子は、 アメリカで生まれたのですが、 数学にさっぱり興味を示さないんですよ」
問題の深刻さを明らかにするために、OECD(経済協力開発機構)の「学習到達度調査(PISA)」の成績を見てみよう。 これは、世界各国の一五歳の生徒たちを対象 に実施されている学習到達度試験である。世界中の生徒たちが同じ試験問題を解くので、この試験の数学と科学の成績を見れば、世界各国の数学・科学教育の質を比べられる (数学と科学はイノベーションの主要な構成要素と言っていいだろう)。 表5は、二〇〇九年の数学・科学部門の結果をまとめたものである。結果は衝撃的だ。ランキングの上 位は、上海(この調査では、中国の中で上海だけを抜き出して調べた)、フィンランド、香港、シンガポール。 そのあとに、日本、カナダ、オーストラリアなどの豊かな国々 がいくつか続く。驚くべきなのは、中国の上海が先進諸国を上回っていることだ。均質で秩序だった社会を築き、教育に多額の投資をしている北欧諸国ですら、上海にはかな わない。トップクラスの国々のあとには、オランダ、ドイツ、イギリスなど、ヨーロッパ諸国の名前が目立つ。最下位グループは、チュニジア、ペルー、インドネシアなどの 国々だ。アメリカは全体の真ん中くらい、ハンガリーとチェコ共和国に挟まれ、ポーランド、スロベニア、台湾の後塵を拝している。 科学の成績に関して言えば、アメリカは 明らかに下半分だ(アメリカは、読解力テストの成績もよくない)。アメリカが抱えている問題は、教育の質だけではない。OECDによれば、就学率も先進三〇カ国のなか で一一位にとどまっている。
读书笔记